2019-05-16

美容業界のことはわからない。ロックメディアの作った美容室「ROCK HAiR FACTORY」の裏側　―激ロックエンタテインメント村岡俊介さん×RIKAさん

自社メディアやアパレルショップなど、各事業が美容室への送客の要になっている

―オープン前から多くの媒体で取り上げられるなど、注目度が高かったように思います。半年経った今（2018年11月27日現在）、お客さまに変化はありますか？

RIKA：オープン当初は大学生の方が多かったのですが、現在は高校生から50代のお客さままで、幅広い年齢層の方に来店いただいています。お客さまの中には長期休暇中に地方からきてくださる方や、東京のライブにきたタイミングでうちに寄ってくださる方もいて、認知度が上がってきていることを実感しています。

村岡：ライブ遠征のときに美容室に来店するというのは、他の美容室にはないパターンではないでしょうか。うちはアパレルのほうも東京でのライブやフェスのタイミングで寄ってくださる方がとても多いんです。

集客面では、自社メディアのファンの方の流入以外にも、アーティストやロックテイストなアイドルの方がサロンモデルをやってくださっているので、その方たちのファンがきてくだることもありますね。

RIKA：自社が運営する媒体やSNSなどを集客ツールとして使い、コアなターゲットを狙えるのも、他の美容室にはない強みだと思っています。紙のマガジンやアパレルショップのお客さま向けに送った美容室のフライヤーを見てきてくださる方や、自社のTwitterアカウントを見てきてくださるロック好きな方はかなり多いです。

―これまで築き上げてきたさまざまなチャネルが美容室への送客に結びついているんですね。

村岡：その他にも個性的な美容室を紹介するコーナーでラジオの取材が入るなど、メディアからのリアクションもかなり大きかったので話題になったのだと思います。レコード会社さんやアーティストマネージメントの方からはライブハウスやアパレルショップのオープンのときよりも「ロックに特化した美容室っておもしろいですね」と、驚きも含め、反響が圧倒的に大きかったです。

またメディアとして開催したイベントの参加者にも、美容室を知っていただくための施策をしています。先日の750人くらい入る箱でやったDJイベントでは、メイクブースを作り、スタッフの方にワンポイントメイクをさせてもらいました。そういう場でスタッフの方に写真を撮ってもらえれば、周知拡大も狙えます。

ロックに特化しながらも、「選ばれる美容師がいる美容室」にしたい

―今後、美容室を盛り上げていく上での戦略には、どんなことがありますか？

村岡：これは僕個人の考えですが、今はお客さまに選ばれるためには、美容師であること以外に何かもう一つフックが必要だと思うんです。もちろん、施術のスキルの高さも必要だと思うのですが、美容師とお客さまには数値化できない感覚的な相性があるはず。

なので、最近では各スタッフをDJとしても育て、スタッフ一人ひとりをブランディングして、ファンになってもらえるような教育にも力を入れています。RIKAにもMusic Bar ROCKAHOLICでDJをやらせたりしています。

「ロックが好き」、「こういうバンドが好き」というキャラクターを持ちつつ、さらに自分の好きな音楽でDJをやっていれば、スタッフ一人ひとりの個性を確立でき、お客さまも自分の趣向と合う美容師だと判断ができる。そうなれば「ここの美容師が好き」、しいては「ここの美容室が好き」とお客さまに選んでいただけるんじゃないかと思うんです。

RIKA：オープンして半年ほどなので、私たちスタッフも勉強をしなければいけない部分や、改善すべき部分はあります。そんな中でもこの空間を楽しんでくださって2週間に一度来店してくださる方や、お友だちの付き添いできてくださる方がいるのは本当にうれしいこと。

今後はROCK HAiR FACTORY主催で、ライブやヘアショー、DJイベントを開催していきたいと思っています。サロン名とスタッフ名、両方の知名度を上げていきながら、お客さまやアーティストの方たちと信頼を築き、美容室を盛り上げていきたいです。

プロフィール
激ロックエンタテインメント
代表取締役／村岡俊介（むらおかしゅんすけ）

1999年に大阪にてDJイベントをスタートし、2007年激ロックエンタテインメントを設立。同社では、フリーマガジン、WEBサイト、ライブ・DJイベントの企画、運営のほかに、Music Bar「ROCKAHOLIC」やアパレルショップ「GEKIROCK CLOTHING」、ライブハウス「LIVEHOLIC」も展開する。2018年6月にオープンした美容室「ROCK HAiR FACTORY」が注目を浴びる。