心も身体も満たしてくれる「まかない飯」を毎日提供。表参道のサロン「kind」のご飯事情
お昼はコンビニ飯、10分でパパっとすませてしまう……そんな美容師さんは多いですよね。しかし表参道にある「kind」の佐々木 令子(ささきれいこ)さんは、同僚のスタイリスト山本さんと共にまかない飯を提供し、スタッフにふるまっています。その様子はNHKの人気番組『サラメシ』でも放映されました。生きるうえで欠かせないものであり、楽しみのひとつでもある「食事」を手作りして提供する。そうすることでスタッフの働き方や店内の雰囲気、佐々木さん自身にどんな変化があったのか、エピソードを語っていただきました。
スタッフのお財布にも優しい「まかない飯」
-佐々木さんはまかない飯を作ってスタッフさんに振る舞われているそうですが、料理を始めたきっかけを教えてください。
ちょうど今から1年前の2015年の4月に、うちのオリジナル・シャンプーの在庫を置くため、倉庫として店舗の近くにマンションを借りたことがきっかけでした。一人暮らし用のワンルームでキッチンも備わっていたので、料理が趣味だというスタッフの山本くんが「ここでご飯を炊いて、お味噌汁を作ったらいいんじゃない?」と提案してくれたんです。そしたら山本くんが、「僕が料理長をやるので、佐々木さんは副料理長をお願いします」と(笑)。
ご飯とお味噌汁だけのつもりが、自然とおかずも作るようになりました。基本的に、料理は私と山本くんの2人で担当していて、片づけや洗い物はほかのスタッフにお願いすることが多いですね。
-美容師のお仕事もお忙しいと思いますが、いつ買い出しに行って、どのタイミングで料理を作っているんですか?
買い出しは大体、当日の出勤前か前の日の夜ですね。私が作るときは私が、山本くんが作るときは彼がそれぞれ買い物に行きます。料理をするのは朝礼が終わってから開店までの時間。もしお客さまの予約が入っていなければ開店直後です。
-食費はどうしていますか?
1食あたり300円に設定していて、まかないを食べたら紙に名前を書いて代金を支払ってもらいます。青山近辺でランチをするとなると、どうしても1,000円を超えてしまうので、経済的な面でスタッフに貢献できているのかな。先日は、給料日前に材料費を限界まで絞って1食100円のメニューを作りました(笑)。スタッフ全員が食べているので、その日出勤する6~10人分を作っています。
-社員食堂みたいですね。どんなメニューを作られているんですか?
私は、肉じゃが、甘酢あんかけ、親子丼といった野菜多めの和食が中心です。一方、山本くんは「ザ・男飯」って感じのお肉を使った男っぽいメニューばっかり。私は、あんまりそういうの好きじゃないんですけどね(笑)。気を付けているのは“冷めてもおいしいこと”。忙しいので、できあがりの料理を食べられないスタッフもいるので。
-料理を作るうえで苦労する部分は?
料理は以前から日常的にやっていたのですが、10人分の量を作るのは初めてだったので、味付けの難しさに戸惑いました。大量の野菜からものすごい量の水分が出て味が薄くなるなど、予想外のことが起きるんですよ。あとは、たっぷり作ったつもりなのに足りなくなるとか。大人数分の料理を作るのは、想像以上にテクニックがいるんだなと感じました。
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