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2019-08-12

人気サロンの採用担当者が語る採用のポイント「LECO」編

どうすれば受かるのか考え始めた時点で相手に媚びている

-採用審査の段階で「これはちょっと…」とマイナスな印象を抱いてしまうポイントについて教えてください。

・相手に媚びてしまっていること

「好きであること」と「媚びること」は違っていて、媚びている人は入社するために戦略を立てているのが透けて見えてしまうんです。だから、初回の来店から熱心にメモを取って、先生から聞いてきなさいと言われたような質問を上から順に聞くような子はいい印象を受けません。

どうすれば受かるのかと考え始めた時点で相手に媚びていってしまうので、「自分の好きなことをどう伸ばしていくか」はサロンではなく自分に向けて考えること。それができる子の方がすごく面白いなと思います。

-早期退職された方に共通している点はありますか?

・自分のメリットを前提に行動するズル賢さ

ありがたいことに今のところLECOでは誰も退職していません。ただ、これまで美容師をやってきたなかで見えてきた共通点は、「ズル賢い」ということです。物事のおいしい面にだけ前のめりになって、おいしくない面には見向きもしない。自分にとってのメリットを前提に行動しているというのが早期退職者の共通点でしたね。

人間は弱い生き物なので、ちょっと先輩が冷たかったり面白くないことが続くと、辞めたくなったり自分がなぜここにいるのかわからなくなることがほとんどだと思います。でも、自分がそこで働く理由についてプラスに捉えられるなら辞めたいと思うことはないはず。早期退職者を出さないためには、メンターとなる上の人間が各スタッフの立場を許容しながら、手本となるようなマインドや姿勢を毎日のように見せていくしかないと思います。

最後はビジネス的な観点から「売れそうな方」を選ぶ

・美容師として売れそうな要素を持っているか

最優先で重視するのはその子の中身ですが、最後はビジネス的な観点から、自分らしいファッションを楽しめているか・美容師として人気が出そうなルックスかといった表面的な部分での売れそうな要素を持っている方を選ぶと思います。

意味を求めずに好きなことを全力で楽しむこと

-最後に、新卒・転職者のみなさんにメッセージをお願いいたします。

まずは、頭でっかちにならずに自分の「好き」を純粋につき詰めていくこと。そして自分のルールに沿ってジャッジすることが大切だと思います。矛盾するように聞こえるかもしれませんが、僕が話してきたことを読んで「内田さんがこう言っているからこうしなきゃ」と思わないでほしいということです。僕の声はあくまでも何百もある雑音のうちの一つ。自分にとっていい音色に聞こえた雑音を取り入れたらいいのであって、僕の声を真正面から受け止めようとする人ほどうまくいかないんじゃないかなと思います。

学生について言えば、意味を求めずに好きなことを全力で楽しむことも大切だと思います。今ってコスパを求めるなど、意味のあることに対してすごく執着しがちですよね。でも僕がこれまで美容師をしてきて何が一番大切だったか思い返すと、それは友だちや経験というプライスレスなものであって、どれも「意味があるから」してきたわけではないんですよね。

単純に自分が好きなことを夢中でやっていたら、結果的にそれが自然とビジネスにつながっていたし、自分のアイデンティティーになったと間違いなく思います。好きなことを見つけて追求している子はとても輝いて見えるし、それをピュアな気持ちで好きでい続けると最終的に将来につながるというのが、僕が一番言えることです。

プロフィールLECO代表
内田聡一郎(うちだ そういちろう)

神奈川県出身。2018年3月1日に自身が代表となるヘアサロン「LECO」をグランドオープン。サロンワークをはじめ一般誌から業界誌、セミナー、数々のミュージシャンやアイドルのヘア等、幅広く活動する。

(取材/文・阿部夕華〈ヒャクマンボルト〉)

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