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2019-04-15

「そんなの無理」は禁止! 「しょぼいアシスタント」が人気ディレクターになれたワケ -Beleza shibuya 下田鉄也さん U29次世代美容師-

アシスタント時代からInstagramでコツコツと作品をアップ

専門学校を卒業して働きはじめたころは、「しょぼいアシスタント」でした。「お前は人の気持ちがわかっていない」としかられたことは数えきれないほどあります。お客さまに話かけるべきところで話せなかったりとか、同じミスを繰り返してしまったりしていました。

自分のダメさ加減に嫌気がして、辞めようと思ったこともあります。それでも、「ルミネで働くおしゃれなアパレル店員を担当できるようになりたい!」など、美容師になったときに立てた目標は失いませんでした。目標があったから、アシスタント時代からコツコツと作品をつくり、Instagramにアップし続けることができたのだと思います。そのころからInstagramのフォロワーもかなりいたので、スタイリストとしてやっていける自信もついていました。

美容師3年目、4年目くらいからデビューへの道筋が見え、「この世界で有名になるんだ」という希望も膨らんできました。そして、転機が訪れたのは2016年秋。知人からBeleza shibuyaを紹介されて転職し、新天地でスタイリストになることができたんです。

入客数は1年半で8倍! 毎日の地道な振り返りが血となり肉となる

Beleza shibuyaに入ったばかりのときと、今と比較するとお客さまの数は8倍になりました。ファッションブランドのプレス担当の子を担当したりしているので、アシスタント時代にやりたかったことも実現できています。何がよかったのか振り返ってみると、やはり目の前のやるべきことを愚直にやり続けたことだと思います。そのうえで、日々改善することが大事です。

前職のサロンは銀座だったのですが、渋谷に移ってからは作品のテイストも、渋谷寄りにシフトしました。それまではややコンサバ寄りの外国人風スタイルを売りにしていましたが、ストリート寄りな渋谷の「今っぽさ」をイメージしたファッション感のあるスタイルに切り替えたんです。これが、Instagramのフォロワーが増える一つの転換点になりました。

集客はInstagramが中心なのですが、作品をアップしたときの効果をあげるために、撮影の仕方を工夫するのはもちろん、アップする時間やハッシュタグのつけかた、動画の作り方なども試行錯誤しました。そのなかで、反応がよかったものだけを残していくんです。そうすることで全体のクオリティを高いところで維持できます。

もちろん、SNSだけではなく、営業内容も毎日振り返り、改善を重ねてきました。その結果、最初はほとんどなかった口コミも、今では月50件くらいに増えて、それに比例して入客も増えています。自分のなかではまだまだですが、コツコツやってきた甲斐がありました。

美容師よ、大志を抱け! 「無理」と決めつけたら何もできない

2018年3月には、会社を巻き込んでアパレルブランドのローンチパーティーを開催しました。アパレルブランドと提携して、レセプションに服を展示し、そこで見た服をネットで買ってもらえるシステムをつくるなど、昔からやりたかったファッションとのコラボをさまざまなかたちで実現できています。

ファッションのジャンルによって似合うヘアスタイルも変わってくるから、新しいヘアスタイルにチャレンジする可能性が生まれると思います。これから仕掛けていきたいことは、アパレル店舗に置いてもらえる商品を企画し、販売すること。アパレルブランドの店舗は全国にあるので、そのネットワークと美容を絡められたら面白いだろうなと思っています。

こんな話をすると、「そんなの無理でしょ」と思う人もいるかもしれません。実際どうなるかはわからないけれど、最初から無理って決めちゃうと、本当に無理になってしまうんですよね。「どうやるか?」と前向きに考えないと、何もはじまりません。

僕が「どうやるか?」と考えられるのは、簡単に諦められない夢や目標があるからです。だから、身近に美容師としてスタートラインに立ったばかりの人がいるとしたら、「強い理想」を持つことを勧めたいですね。それさえあれば、きっとこの先、何があってもくじけませんから。

岩手県出身。ベルエポック美容専門学校卒業後、SHIMA GINZAに入店。アシスタント時代からInstagramで積極的に作品を投稿し、キュレーションサイトなどで取り上げられる。2016年にBeleza shibuyaに転職し、現在はディレクターとして活躍。アパレルブランドとのコラボレーションなど、新しい試みをおこなっている。

プロフィール
Beleza shibuya
ディレクター/下田 鉄也(シモダ テツヤ)

(取材・文/外山 武史  撮影/菊池 麻美)

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