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2021-11-05

NYLON JAPAN編集長に聞く、ハイクオリティなスタイル撮りのHOW TO

美容師必須のSNS、使い方のポイントとは

――NYLONはメディアの中でも、TwitterなどでのSNS発信の先駆けだったと記憶しています。

余談になってしまいますが、創刊号から程なくして、「NYLONをハブに読者のコミュニティを作る」ことを目標にしました。

17年前はSNSなんてなかった時代。今よりも横のつながりを作ることが大変だった時から、誌面を作る意識というより、読者が集える場所作り、一緒に誌面を作っている感覚が今後求められると思っていました。

当時はこの考えがあまり受け入れられませんでしたが、SNSができるとともにNYLONもいち早くSNSを使って発信をしたり、SNSで集客をしてイベントを行ったりと、読者の共感を得てきました。SNSが発達したことによってNYLONのコミュニティづくり、ブランド作りは格段に楽になったと、ここ数年で思いますね。

――美容師さんでSNSの使い方を迷っている方も少なくないです。

SNSの使い方については僕たちもずっと模索しています。

何をすれば正しいのかはもはや分からない時代。そんな時に、SNSで集客をしている方が今やるべきことは、誰に対して何を伝えたいのかを明確にしていく作業だと思います。

例えばインスタグラムは1秒も満たない秒数でスクロールされてしまう。ユーザー数が伸びているTikTokは0.3秒以下と言われています。そんな少ない秒数の中で手を止めてもらうには、テキスト、絵作り、人によっては動画の作り方、何をやっている者なのか、何が得意なのか。

自分の打ち出したい部分を掘り下げて、その辺りを改めて一考していくといいのではないかと考えています。

あと個人的にはTikTokの活用も視野に入れて欲しいですね。

ユーザーの拡大、スピード感がどのSNSの中でもダントツです。窓口として使えば、インスタやTwitterのフォロワー数が増えやすいと感じています。最近のインスタは、戦略的に使わないといけませんが、TikTokはもう少しライトに使えるので、試しにやってみる場所として最適だと思います。

――SNSでの発信や、ページの見せ方など、これまで挑戦されてきたという印象ですが、今後も何か挑戦したいと思っていることはありますか?

もうはじめたのが、コンビニの撤退です。

数年前からNYLON読者とコンビニで雑誌を買うユーザーが合わないと感じていたので、思い切って決断をしました。他社の方からはあり得ないと言われましたが、部数が上がり、結果的には雑誌のイメージを守る上でもやってよかったことのひとつですね。

あと考えているのは、発売前に誌面を全て無料公開すること。

これは近々必ず叶えたいことのひとつです。ネタバレを恐れる気持ちもわからなくはないですが、今のユーザーは、中身を見て、いい内容なら手元に置いておきたいと思い、購入してくれる人が多いと思っています。今後もユーザー動向に注視しながら、長く発行できることを目指していければと思います。

カエルム株式会社
代表 戸川貴詞(とがわたかし)

1967年生まれ、長崎県出身。出版を中心にグローバルなクリエイティヴをプロデュースする会社、カエルム有限会社(現・株式会社)を設立し代表を務める。雑誌『DAZED & CONFUSED JAPAN』『NYLON JAPAN』などの人気ファッション・カルチャー誌を創刊し編集長を務める。現在、雑誌、ウェブ、SNSを中心に、『NYLON JAPAN』をはじめ、『HIGHSNOBIETY JAPAN』『CYAN』『NAILEX』などを運営している。秋には新しくグローバルな“音楽&カルチャー”メディア『VI/NYL』(バイ&ナル)をローンチする。

(取材/高橋優璃 撮影/菊池麻美)

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